写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

60周年を迎えたニッコールクラブ

 ニッコールレンズとカメラの愛好家の集いである“ニッコールクラブ”が、昨年で創立60周年を迎えました。60年というと素晴らしい歳月ですが、それでも設立当初からの会員が今でも4人ぐらいいるそうですからすごいことです。右には、その設立にあたり配布された結成趣意書の一部を掲載しました。昭和27年ということですから、1952年の設立でした。僕自身は、とくにニッコールクラブの会員ではありませんが、縁あって毎年12月に開かれるニッコールクラブ伊奈信男賞・三木淳賞の贈呈式には参加させてもらってます。クラブそのものの詳細は、それぞれニコンのHPをご覧いただければと思います。
 実は、僕が皆さんに見ていただきたかったのは、結成趣意書に引き続き印刷された「発起人」の一覧です。総勢54人ABC順に掲載されていますが、各界にわたるその幅広さは、言葉にいい表せるものではなく、どの方々に注目するかは、それぞれご覧になっている皆さんの指向そのものだろうと思うわけです。この時期ですからというわけではありませんが、僕は、M.バークホワイト、H.C.ブレッソン、D.ダンカン、C.マイダンス、H.ウォーカーなど、海外報道写真家の面々が名を連ねていることに、さすがはニコンだと感心するわけです。

 この趣意書と発起人の方々をご覧になっておわかりかと思いますが、ニッコールクラブは設立当初は主にニッコールレンズ愛用者の集いとして設立されたことがわかります。設立の1952年というと、1948年2月にはニコンカメラ(ニコンI)が発売されていて、当然のこととして申込書にはカメラ名を書き込む欄もありますが、当時ニコンのおかれていた地位はまさにこの発起人一覧に凝縮されているのです。そして換言すれば、今日、日本のカメラ産業発展の礎がここには見えているのです。
 さて、何でこんな古いものがここにでてくるかということですが、これは僕が時々顔を出している、札幌「IMAIコレクション」の収蔵品なのです。オーナーの今井さんはカメラに関係するものなら、ゴミでもチリでもいいからといって、いつも一式引き取るそうですが、なかにはこのようなものが含まれているというわけです。

 ニッコールクラブは創立60周年を記念して3月20日(水)〜27日(水)まで6泊8日の撮影ツアーを「混沌と郷愁のベトナム、幻想のランタン祭り」と題して行いました。ニッコールクラブ顧問をはじめ現地に精通したプロ写真家が同行し、総勢80人という一大ツアーだったようです。