写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

下岡蓮杖の墓参と最近思うこと

 3月3日はひな祭りです。語呂合わせで耳の日とかいわれますが、僕は毎年この日に行われる、わが国写真師の開祖とされる下岡蓮杖の墓参会に豊島区の染井霊園へと、久しぶりに参加してきました。下岡蓮杖が亡くなったのは大正3年3月3日で1914年のことで、今年はちょうど100回忌にあたったそうです。そして、この3月3日は特異日だと、同行の知人はいうのですが、確かに前回、行った2010年のこの日は見事な晴天で、お墓の背後のソメイヨシノにはわずかに花が咲いていましたが、今年2013年はどうだろうかと思っていましたが、例年になく寒さが厳しいようで、サクラはつぼみのままで、早朝は青空の天気に恵まれましたが、集合時間には、曇天という具合でした。
 いまさらこの場で下岡蓮杖とは、と云々書くのは控えようかとも考えたのですが、ブログそのものは幅広い方々が読まれていると思われますので、簡単にするために伊豆の下田市にある下岡蓮杖の胸像と碑の解説文を載せます。今回は、下田市からも関係者が来られていましたが、ご挨拶の中で、下田小学校の校歌には「技の蓮杖」と歌われているというお話もありました。なお墓参会は、下岡蓮杖を偲ぶ会と日本写真文化協会が開いています。

 さて、せっかくですから下岡蓮杖に関係する場所の写真をもう少し紹介しましょう。下は、横浜市馬車道にある「写真師・下岡蓮杖顕彰碑」です。こちらは毎年というか、2009年からパシフィコ横浜で開かれている「CP+」が今年で4年目になりました。いつも開会のセレモニーから参加していますが、初日はイベントに関係していて直前までの準備もあり、早朝に自宅から行くのは大変なので、必要に応じてこの顕彰碑近くのビジネスホテルに泊まるのが恒例となっています。そこで過去4年間この顕彰碑の前を通ったのですが、ある時はチェックイン前の夜に、ある時はチェックアウト後の朝にというわけで、まるでお参りをするようにいつも記念写真を1枚撮るようにしているのです。

 上の写真は、昨年2012年の早朝に撮影したものですが、今年2013年は夜中に撮影しましたので、ここではしっかりと写っている早朝撮影分として昨年のを使用しました。しかしなぜ馬車道に? と考えられるかもしれませんが、1867(慶応3)年この地に、下岡蓮杖が撮影楼という写真館を開いた場所だったのです。
 ところで、なぜ僕が、こんなに下岡蓮杖の写真をいろいろと集めているのかと聞かれると困るのですが、実は大学の授業の中で見せるためにコレクションしていたのです。このほかに類似したものとしては、1309(明治42年)年に竣工した旧北海道庁函館支庁庁舎を利用した「函館市写真歴史館」と木澤幸吉のこと、長崎の上野彦馬の写真と生誕地や記念碑やお墓など、さまざまな場面と歴史的な写真を見てもらうためでした。このうち下岡蓮杖関係と函館は自分で撮影しましたが、長崎の上野彦馬関係は福岡県在住の写真家・広渡孝さんにお願いして、わざわざ撮影に行ってもらったりと大変お世話になりました。その東京工芸大学芸術学部写真学科の非常勤講師も7年勤めましたが、僕的には考えるところもあり、ちょうど節目かと思い、今年度を最後に辞退することにしました。よりリアルな話を聞いてもらおうと、僕の周りの多くの写真関係の方々には来校いただき、ご協力いただきました。この場を借りて厚く御礼申し上げるわけです。そして、この7年間の非常勤講師を通じて得たことは、学外のいろいろな場で授業を受けた学生や社会人から、役に立った、面白かったと声をかけられたことで、これが僕にとって最大の収穫でした。このブログ読者にも多数いますので、再度、この場を借りて御礼申し上げます。 (ー_ー)!!