写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

長徳さんと札幌



札幌時計台の近くに、個人では数少ないカメラ博物館「IMAI collection」があります。その規模はと聞かれると困るけれど、とにかくビルの2階から4階まで、カメラやレンズ、アクセサリー類がショーケースにびっしりと展示されているのです。その展示棚の総延長は170mを超えるものです。写真右下はライカコーナーの展示棚を横から撮影したものですが、奥行きの深さでご想像ください。オーナー今井貞男氏のカメラ収集は1,650台とされていますが、その中身の濃さは並みではありません。世界最古の金属カメラとされるフォクトレンダー大砲カメラオリジナルレプリカに始まり、それぞれがライカハッセルブラッドニコン、ツァイス・イコン、ジナー、ディアドルフ、ミノックス、リンホフ、コダック、ローライ、コンタックスペンタックス、ムービーカメラ、大型カメラ、露出計、引伸機、書籍などなど国内外の珍しいカメラが山のようです。僕が今井さんと知り合ったのは今から3年ほど前で、札幌にUターンした元職場の小田俊春君の紹介でした。今年の春にぜひ見てみたいということで訪れたN社のGさんと同僚は午後2時から10時半まで、トイレに行く以外はカメラに釘付けでした。今回は、今井さんの希望で田中長徳さんの講演会をやりたいというのです。もともと「IMAI collection」はクレージー・アイと名付けられていましたが、拡張と改装を機会に改名しました。今井さんは、まずコレクションを長徳さんにじっくり見てもらい、そのクレージーぶりを評価判断してもらおうというのです。当日は札幌近郊のカメラ好きの方々約30人が集い、熱心に長徳さんの話に聞き入っていました。
今井さんの希望は、長徳さんの話を聞くと同時に、終了後皆で記念写真を撮りたいということでしたが、一部の人は長徳さんの執筆された本を複数持参し、サインをしてもらいニコニコ。長徳さんもサービス精神を発揮して手慣れた感じでていねいに応じていました。いまさらながら長徳さんの人気の高さには敬服しました。実は、僕が長徳さんと知り合ったのは、今から30年前の1980年フォトキナの会場でした。当時長徳さんはウイーンの住んでおられて、アサヒカメラの取材の通訳兼で来てました。現地ではいろいろお世話になりましたが、帰国後は声楽家である奥様のリサイタルに顔を出したりとか、ときどき原稿を書いてもらうとか、お付き合いをさせていただきました。

約束の記念写真は、皆さんいい顔していますね。長徳さん遠いところまでありがとうございました。何でも長徳さんは60歳の還暦を迎えたときに、エッセイストになるというように決めたそうで、現在、文春にプラハの…………というタイトルで20回の連載中で、やがて単行本にという希望を持っているようです。同じ年齢の僕としても、多少は刺激を受けた札幌でした。夕食後、長徳さんと別れてテレビ塔前の大通り公園のイルミネーションを撮影しましたが、こちらはおまけです。ところで「IMAI collection」は非公開で、年に数日必要に応じて開いているそうです。