写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

5月連休前は苦しみます

 ここ数年というか、ちゃんと調べてみたら2005年からですからもう8年もなのですが、5月連休前というと、いつも日本写真学会の1年間をまとめた展望記事を書いています。内容的には“2011年の写真業界を振り返って”という感じの記事になるのですが、これがけっこう作業的に苦労するのです。2011年の感光材料の生産と出荷状況、カメラ・交換レンズ・小型プリンターの生産と出荷状況、さらにどんなフィルムやカメラが販売されたかなどに加えて、写真業界で何が起きたかというような内容を抽出するのです。こういう作業は、ただただ時間をかけて細かく拾い上げていく作業となるのです。そこで2011年はどんな年であったかというわけですが、やはり3.11の東日本大震災にすべて尽きるわけです。このブログでも何回か取り上げましたが、津波で流された写真の回収、洗浄作業などがありますが、もう少し違った目で見てみたら、というのが各写真関連メーカーの被災状況と義援金の額に関してです。その内容を一部転記しますと、

 3月11日の大震災により、写真業界各社は地震/津波の影響を受けて操業を停止するなどの処置を余儀なくされた。その内容を列記すると、キヤノン:EFレンズを製造する栃木県宇都宮事業所、茨城県取手事業所、同県阿見事業所が被災。グループ会社では、青森県キヤノンプレシジョン、茨城県キヤノンオプトロン、同県キヤノン化成・岩間工場、同県キヤノンモールド、福島県の福島キヤノンが被災。特に宇都宮事業所と福島キヤノンの被害が大きかった。ニコン:プロ用デジタル一眼レフを製造する宮城県の仙台ニコン、同県宮城ニコンプレシジョン、栃木県の栃木ニコン、同県栃木ニコンプレシジョンなどが被災。オリンパス:医療用内視鏡製品を製造する青森県の青森オリンパス福島県の白河オリンパス、同県オリンパスメディカルシステムズが被災。富士フイルム宮城県FinePix X100の製造工場が被災、シグマ:生産拠点の福島県会津工場が被災、パナソニックデジタルカメラを生産する福島県のAVCネットワークス社福島工場が被災した。
 また写真業界各社は、義援金や物資の支援も行った。キヤノン:グループで義援金3億円とポータブルX線デジタル撮影システム57セット、ニコン義援金1億円とデジタルカメラ1,000台とSDカード1,000枚、富士フイルム富士ゼロックスと共同で義援金3億円と、医療用超音波画像診断装置とマスク100万枚の4.7億円相当、オリンパス義援金1億円と工業用内視鏡非破壊検査装置を提供、タムロン義援金1千万円と青森3工場を通して500万円の支援、リコー:グループで義援金3億円、ソニー:グループで義援金3億円とラジオ3万台、パナソニック:グループで義援金3億円とラジオ1万台、懐中電灯1万個、乾電池50万個、HOYA義援金1億円とビデオ硬性挿管用喉頭鏡などの医療機器や支援物資、シグマ:義援金として5億円、シグマ従業員・世界各国のシグマグループ従業員及び取引先から集まった寄付金3,7396,514円、米国イーストマン・コダック:被災者救援活動に義援金10万ドル。ケンコー:ケンコーグループとして義援金300万円と支援物資。

となります。もちろんこの記述からもれたところもあるでしょうが、その時はご勘弁ください。さらに2011年には、写真業界にとってはもうひとつの自然災害であるタイの洪水がありました。

 タイの洪水被害により、キヤノンインクジェットプリンターを生産する「キヤノンハイテクタイランド」、ニコンは一眼レフと交換レンズを生産する「ニコンタイランド」、ソニーはαボディを生産する「ソニーテクノロジータイランド」、日本電産コパルは、デジタルカメラ用シャッターとレンズユニットなどを製造する「日本電産コパルタイランド」、ケンコー・スリックは「スリック・タイ工場」などが10月末現在で影響を受け、操業停止などの影響を受けた。

となるわけです。いま考えても2011年はいろいろありましたが、写真にとっては真価が問われた年でもあったわけです。

 さて“「写真にこだわる」の読者1/600のひとりです。”ということでキヤノンのOBである新宮さんから『今年の「キヤノンOBフォトメイト第4回写真展」、5/17-5/23・四谷の昨年と同じ所で開催(出品数約70点)します。写真がとりもつ「なつかしい方々との年に一度の邂逅の場」でもありますので、ちょっと覗いていただければ嬉しく思います。』と写真展のご案内をいただきました。昨年も紹介しましたが、とりあえず告知させていただきます。
■追記:新宮さん以外にも1/600という方からご連絡いただきました。ただし600人という数値は、1日600人の方が見に来られていて、6日間で3,400人以上の方が見に来られていたというのが、正しい表記です。それ以上はカウントしても意味がないと考えましたが、600人の方々が読んでくださっている人々の総勢ではないと感じています。ご愛読ありがとうございます。