写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

講演会「平成のカメラ」フィルムからデジタルへの変遷を回顧する

 日本カメラ博物館では講演会『平成のカメラ フィルムからデジタルへの変遷を回顧する』を6月29日、午後1時~3時まで行います。講演者は私・市川泰憲ですが、平成の時代というと平成元年の1989年から平成31年の2019年までです。この間、写真とりわけカメラ技術はどのような進歩があったか。私自身、昭和は1926年(昭和元年)12月25日から1989年(昭和64年)1月7日までのうち、42年間生活してきましたが、カメラや写真に関してすべてを実体験してきたわけではありません。その点において、平成元年の1989年から平成31年の2019年まで 間の写真界にはズバリ身を置いていましたし、その間に登場したカメラはそのほとんどを手にしたことがあるといっても過言ではありません。この31年間の写真界の動きカメラの進歩を見直してみると、さまざまな興味深いことが見えてきました。

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≪平成元年の1989年カメラグランプリに輝いた“ニコンF4と1989年に発売のキヤノンEOS-1

 まず平成元年(1989年)は、フィルムから電子カメラ(デジタル)への芽生えをわずかに意識させる年でしたが、その前年に登場したキヤノンソニーコニカの2インチフロッピーを使う電子スチルカメラはことごとく惨敗して、そこからの約10年間はフィルムカメラ全盛の時代でした。そんな中で、1989年カメラグランプリに輝いたのはニコンF4ですが、同年発売のキヤノンEOS-1は翌年のカメラグランプリを逃しました。なぜか、その真相をお話しましょう。

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≪お話は、その年のメインのカメラに加え、その年の大きな流れを作ったカメラの流れを紹介する裏ページに分かれます。上のパワーポイントのページは、“新規格フィルムAPSが残したもの”と題した年の、裏ページです。

 そして1992年にはハネウエル社特許事件が和解しました。この間失ったもの、得たものは各社それぞれで、改めて見直してみます。加えて元東京大学生産技術研究所教授・小倉磐夫先生の功績、カメラや写真が単に技術の進歩としてかかわるのでなく、さまざまな社会現象と共に歩んでいるのです、松本サリン事件と写真、ソニーが提案したフィルムカメラシステム、新規格フィルムAPSが残したもの、メガピクセルデジタルカメラの登場、横田めぐみさんと写真、黒白感光材料の生産推移とカメラ生産、フォトマスター検定の開始、阪神淡路大震災とカメラ、東日本大震災と写真の意義、タイの洪水とカメラ生産、熊本地震とカメラ製造、自撮り棒の流行とその起源、アメリカの写真事情、フランスの写真事情。ダゲレオタイプから180年の2019年、100年を迎えたカメラ企業、皇室の皆様はカメラ好きなど等、その年々に登場した最新カメラを紹介すると同時に写真の周辺社会まで幅広く掘り下げてお話しします。

 なお、当日は31年間の写真技術と周辺の流れがわかる一覧表を参加者全員にプレゼントし、お話にはサプライズ映像をいくつか盛り込み、令和元年記念特別プレゼントも用意いたしました。また講演終了後、3:30~5:00まで、博物館で皆様とお話合いする時間も設けました。

≪場所≫日本カメラ財団6階会議室(千代田区一番町25番地 JCIIビル)≪お申し込み≫日本カメラ博物館、電話:03-3263-7110≪受講料≫300円(当日受付日本カメラ博物館入館料300円も含みます)≪受付定員≫100人≪詳細≫News release

 

■2019年度PHOTONEXT技術アカデミー

 2019年6月18日(火)には、パシフィコ横浜にて行われれるプロ用写真機材ショーである「PHOTONEXT」にて併催される日本写真学会の“2019年度PHOTONEXT技術アカデミー”にて「最新ミラーレスカメラ事情」と題して、最近使ったソニーからパナソニックまで、フルサイズミラーレス一眼を中心に、それぞれに期待される部分、現状での問題点など、私なりに感じたことを、お話しします。詳しくは、日本写真学会イベントページをご覧ください。こちらもよろしければ、お申し込みください。学会主催ならではの踏み込んだお話ができればと思っています。