写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

中井駅の柳 「お散歩カメラ」と「通勤カメラ」その2

 久しぶりに西武新宿線中井駅で降りて、写真展巡りのために都営大江戸線六本木駅に向かったのですが、かつて中野坂上の東京工芸大に通っているときに見つけた川端の柳の大木が、なぜか寂しそうに見えて、それでついシャッターを押したのが2007年のことでした。

≪2007年3月9日撮影≫ 西武新宿線中井駅から都営地下鉄大江戸線中井駅に向かって歩くとすぐに妙正寺川が流れ寺斎橋があります。そのたもとに大きな柳の木があるのですが、なぜか川の欄干に両手をそえて寂しそうに川の流れを見ているように感じたのです。右は、橋の上から撮影してみました。

≪2010年6月24日撮影≫ その柳の木が3年後に通りかかったら伐採されていました。まだ伐採されて間もないようで、切り株の周りにはチエーンソーによる大鋸屑が散らばっていました。新宿区役所によると木が枯れたからだそうです。切り口の部分が穴が開いたのが、人間の顔のように見えましたが、かつてのような寂しそうな感じはしませんでした。

≪左:2011(平成23)年4月7日、右:2022(令和4年)年7月6日≫

 1年後には小彼岸桜が植わっていました。脇には小彼岸桜、寄贈・長野県高遠町平成23年4月29日となっているのです。どうしてヤナギが小彼岸桜になってしまったのだろう、なぜ寄贈日付以前に植わっているのだろうなどとも考えましたが、よくよく調べてみると、日付の件は別にして、高遠藩の藩主内藤家は、宿場内藤新宿の現在の新宿御苑一帯に下屋敷があった縁で、新宿区と旧高遠町(現伊那市高遠町)が1986年に友好都市協定を結び今日に至っているということで、高遠城址の小彼岸桜は有名で、それが縁で寄贈されたらしく、新宿区内のあちらこちらに小彼岸桜が植樹されてるようです。

 桜は生育が早いようで、2022年で植栽後11年経ち、ここまで大きくなりましたが、根が張って路面が盛り上がってます。あと10年経ったら、また手に負えなくなりますね。その時はまた伐採して、新たな植栽が必要なのでしょうね。川沿いには柳の木が良く似合うと思っていましたが、その時はまた柳の木が植えられるといいなと思った次第です。

 さて、今回はふとしたことから、1本の柳の木を撮影して、定点観測的な写真を披露しましたが、中井あたりは昔どんなところだったのだろうかと調べたことがありましたが、かつては駅を抜けるといくつかの坂があり、閑静な住宅街であったようです。また妙正寺川には以前はホタルが飛び交い、神田川と落ち合う(合流する)落合あたりは染色業が盛んだったようで、よく見て歩くと川沿いは今でもその名残をとどめています。そして近くには、かつては将軍家の狩猟地で、現在も湧水のあるおとめ山公園があるなど、ゆったりの「お散歩カメラコース」なのでした。こういう写真による経時変化を簡単に検索で、新旧データを組み合わせて使えるのもデジタル時代ならではと思うわけです。 (^^♪

注)本記事は、2011年4月21日のブログに写真を追加して加筆したものです。