写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

地方発「写真フリーマガジン」

 最近、地方発の写真関係フリーマガジンを目にする機会があったので、簡単に紹介しましょう。まず下の写真を見てください。左は、"南信州発信の写真投稿専門フリーマガジン『フォトコミュニティー写真刊』"、右は、“鹿児島発「フィルムカメラクラシックカメラ好きの憩いの場『CLASSIC CAMERA MAGAZINE KAGOSHIMA』”です。どちらもA4判で、全ページにわたって4色(カラー)印刷なのが、僕のように長く雑誌編集をやってきた人間には大いに気になります。特に、鹿児島のクラシックカメラマガジンは、フィルムカメラ好きのとうたっているだけに、全体の半数ページは黒白写真だというのは、贅沢というほかありません。

 さて、内容はということになりますが、どちらも共通しているのは読者の投稿した写真を掲載することをベースにしていることです。また、広告もいかにも地方ならではということで、地元のカメラ店はいうまでもなく、病院、大学の先生、菓子店、タクシー会社、ヘアーサロン、コーヒー店などを初めとしてさまざまな業種が、掲載されていることです。もちろん写真を投稿する人は当然のこととして、たぶんフリーペーパーを作っている人も、広告を出している人も、みな写真好きではないのだろうかと思うのです。既存の写真大手企業に頼らないで、写真に限定されたタウン誌が、長野県と鹿児島県に育っていることは大いに注目してもいいでしょうし、賞賛に値することで、そこまで写真文化が地域社会に根付いてきたということを物語る事実以外何ものでもないわけです。
 『フォトコミュニティー写真刊』の内容は、こちらをご覧いただくとして、特に『CLASSIC CAMERA MAGAZINE KAGOSHIMA』は、フリーペーパーとして印刷物で配布されている以外、電子ブックとしても配布されていますので、そちらを見てもらえれば、バックナンバーもすべて見ることができるのです。巻頭は、写真家・赤城耕一さんの写真とエッセイ、投稿者の思いが詰まった写真と文章、取材記事など、ボリューム感もあります。
 たまたま目にすることができた、2種の写真フリーマガジン。まだまだ、ほかの地域にもあるのでしょうか? 機会あれば読んでみたいものです。