写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

キヤノンRF600mm F11と×1.4エクステンダーを使ってみました≪Ver.02 完結編≫

 キヤノンからEOS R5とEOS R6の発表に合わせて、“RF600mmF11 IS STM”と“RF800mmF11 IS STM”が発表され、7月下旬に発売が開始されました。実は当方すでにキヤノンミラーレスの「EOS R」と「EOS RP」を購入してきたので、「EOS R5」はスルーすると書いたのですが、わがスポンサー氏が長年続けてきたのに休むのは良くないというので「EOS R5」とRF15~35mm F2.8 L IS USMを求めてレポートしましたが、さらに「RF600mmF11」は面白そうだからこちらも使ってみてくださいというのです。ということで、「RF600mmF11」と「エクステンダーRF1.4」を注文したのですが、なかなかエクステンダーRF1.4が来ないので、しびれを切らしてということもありますが、あまり時間がかかると熱が冷めてしまうので、とりあえずはレンズ本体だけ引き取ってきました。

 そこでとりあえずは600mmF11だけを手にしたので、「600mmF11」を単体で取り上げ、「エクステンダーRF1.4」がきた時点で追加してレポートすることにしました。

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≪EOS R5ボディに装着したRF600mmF11 IS STM≫ まずはボディであるEOS R5に取り付けてみました。このレンズのテクニカルな面は後述しますが、沈鏡胴を採用していて小型・軽量なのです。写真は撮影状態、つまり沈胴を引伸ばして撮影状態にあります。この状態で手に持って構えてみるとハンドリングも良く、何を撮ろうかと考えました。

 この時点で考えていた被写体は、動くもの、ステージ、花などを思いながら、外観写真と「何を撮るかな?600mmF11」と書きFaceBookに載せると、瞬時に「とりあえず月を」撮ったらと返信が、ある写真大学のS先生から返事をいただきました。なるほどです、その日は中秋の名月の翌日10月2日なのです。 早速、あれこれ設定を考え、わが家のベランダから撮影したのが下の写真です。この時期は、アマチュアから専門家まで多くの方が月の写真をアップしているので、皆さんのと比較してみると、かなりベテランの方が撮影したのに近い月の画像が1発目から撮影できたのです。これは驚きでした。実際下に載せた写真は、2回目に撮影した結果ですが、大きく変わるところはありません。先生に提案をいただいてからわずか5分ぐらい後のことでした。

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中秋の名月+1日≫ CAF、マニュアル露出、F11・1/2000秒、ISO 1000、AWB、手持ち撮影、レタッチソフトによるプラス側にトーンカーブ補正。最初は、CAF、絞り優先AEで、ISO-AUTO、-3EV露出補正で撮影しましたが、露出はオーバーでした。このためトーンカーブ補正で上に掲載したのと同じように見れるようにしましたが、もともとオーバー気味の画像を適正にするためにトーンカーブ補正を行うと、場合によっては白飛びする部分もでてくるだろうと、2度目の撮影では露出設定をすべてマニュアルにして、わずかにアンダーになるように露出を与えたのが上の写真で、オーバー側にトーンカーブ補正してあります。

 この月が撮像素子に写る大きさは、焦点距離600mmだと直径約6mmに写るので、同じ焦点距離ならAPS-C、マイクロ4/3、1型でもみな同じですから、撮像素子の寸法が小さくなるにつれて、徐々に周辺の黒いスペースが消えていくというわけです。ただ、エクステンダーを使って焦点距離を変えると、1.4倍のエクステンダーでは840mmで8.4mm、2倍のエクステンダーでは1200mmとなり月は撮像素子に直径12mmの寸法で結像することになります。合焦点までの距離はExifには4294967295m(この数値は後日無限遠を表すことが判明しました)とでました。中秋の名月の場合は地球から月まで約40万kmとされていますから、測定誤差の範囲かわかりませんが、昨今のカメラはすごいとなります。せっかくですから、今回の作例には合焦ポイントまでの撮影距離データをすべて掲載することにしました。

 さてこの月の写真が、カメラを構えファインダーをのぞいて押すだけで簡単に写ったのは驚異です。まさにこれがF11という暗いレンズであり、ファインダーは暗さを感じさせなく、AFに連動し、高感度に強いデジタルのミラーレス一眼ならではのことであり、さらにレンズ側とボディ側の協調により5段もの手振れ補正効果を得られるというEOS R5とRF600mmF11 IS STMでの成果であるわけです。どうしてCAF(コンティニュアスAF)モードで撮影したかというと、手持ち撮影で600mmという焦点距離では、手振れ補正が働くこととは別にして、たぶん小刻みに揺れているだろうと考えたからで、ONE SHOOT AFでは決められないと思ったからです。なお撮影はカラーで、ホワイトバランスはAUTOにしての撮影であって、モノクロ変換はしていません。

■小型・軽量の超望遠

 月の撮影が大変うまくいったことに気をよくして、実は翌日に朝から20分ほど屋外で撮影してみましたが、あっという間に面白い写真が複数枚撮れてしまいました。それをまず紹介したいのですが、ここはやはりどのような技術でこのようなレンズが製品化されたのか考えてみました。まずこのレンズは、鏡胴を沈胴式にして、光学系には2つの回折格子を密着させたDOレンズを使い色収差をはじめとした諸収差を補正すると同時に小型化を図っているのです。下には、従来のEFレンズとRF600mmF11の重量・寸法比較を示していますが、沈鏡胴とDOレンズの採用、さらには最大口径がF11であることに加え、鏡胴のエンジニアプラスチック化を大胆に進めたためだと思うのです。DOレンズは、かつては高級品でレンズ鏡胴前部に緑色の線を入れて、他レンズとの差別化を図っていましたが、このレンズでは線を省いていますが、それだけ回折格子を用いたレンズが一般化したということなのでしょう。

 この結果、RF600mmF11単体で約930g(800mmF11は1,260g)という軽量を達成して、バッテリー、カードを含めたボディの重さ約740gを加えても1.7kg未満となり、私でも首からさげて歩くのは特に苦になることはありませんでした。実際は同様の重さのカメラを2台首からさげて歩き回りました。このレンズのもう少し詳細な技術に関しては、発表の時に書きましたのでそちらをご覧ください

 

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 ≪EF600mmF4とRF600mmF4の比較とDOレンズの配置≫  800mmF11のレンズ構成は、DOレンズの前に凸レンズを配置した形で焦点距離を増しています。それぞれのレンズに×1.4のエクステンダーを付ければ840mmF16、1020mmF16、×2のエクステンダーを装着すれば、1200mmF22、1600mmF22となりそれでもAFが働くというのです。注文して未着の×1.4エクステンダーの到着が待ち遠しいです。なお、この時期ネット上の安値実勢価格でRF600mmF11が96,000円、RF800mmF11が112,000円、×1.4エクステンダーが63,000円、×2エクステンダーが74,000円強です。

 ■いつもの英国大使館とランダムな撮影

  薄日のさす朝でしたが、それでも十分とさっそく屋外に引っ張り出してみました。最初に向かったのはいつもの英国大使館です。撮影位置は鉄柱のバリケードがあるので毎回定位置ですが、いつもなら快晴の日の朝10時15分ごろ、35mm焦点距離レンズをF5.6に絞って、正面玄関屋根近くにある紋章にピントを合わせての撮影となりますので、画角比較をされたい方は「キヤノンEOS R5を使ってみました」をご覧ください。

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≪英国大使館エンブレム≫ F11・1/640秒、ISO-AUTO 3200、AWB、手持ち撮影、合焦点まで33.2m。いつもなら画素等倍に拡大しての画面ですが、ノートリミングでこの大きさですから、さすが600mmの画角、4500万画素の質感です。当然のことですが、このF11という開放値の描写も十分満足できるものです。

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≪Snap Back Photo≫ CAF、  F11・1/640秒、ISO-AUTO 1250、AWB、手持ち撮影、合焦点まで107m。道を歩く女性の後ろ姿が素敵だったので、だいぶ先まで歩いていくのを見届けてシャッターを切りました。もちろんAFはコンティニュアスなので、女性の姿を追い続けています。手前の歩道の障害物、奥の歩道の木々や歩いてくる男性などが、圧縮感とともに程よくボケていて狙った女性を浮き立てていますます。

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≪走る自転車≫ CAF、  F11・1/800秒、ISO-AUTO 1600、AWB、手持ち撮影、合焦点まで23.2m。ゆるやかな坂を下ってくる自転車を狙ってみました。撮影距離からするとしっかりと自転車を漕ぐ、こちらに来る人物を面白いほど追いかけています。

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≪走行する車≫ CAF、  F11・1/800秒、ISO-AUTO 1250、AWB、手持ち撮影、合焦点まで206m。遠距離を走行する車を狙ってみました。狙ったのは中央の白いミニバン。走行をしっかり追いかけていますが、運転手の顔も反射がなければ識別できるほどのAF追随能力です。動いている被写体を何のためらいもなくシャッターが切れるのは、すっごく楽しいです。

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≪大輪のダリア≫ CAF、  F11・1/400秒、ISO-AUTO 12800、AWB、手持ち撮影、合焦点まで4.3m。近接での描写を試してみました。F11という明るさだと、この程度の大きさの花だと手前から花芯までピントが合うのはなかなかいい。シャープさも必要十分だと思います。

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彼岸花 CAF、  F11・1/640秒、ISO-AUTO 8000、AWB、手持ち撮影、合焦点まで13.9m。中距離にある彼岸花の群生を撮影しました。この感じからすると600mmF11というレンズでも深度は浅いように感じました。計算すると、この距離だと29cmぐらいが深度です。

 ■×1.4エクステンダーRFがやってきた

 RF600mmF11と×1.4エクステンダーRFをいつもの販売店に注文したのは9月10日、RF600mmF11はその日のうちに確保されたのですが、×1.4エクステンダーRFはその時点では在庫はなく予約ということで10月21日に来たのです。当初は両方がそろったらということで待っていたのですが、×1.4エクステンダーRFがなかなかこないので、途中でしびれを切らしてRF600mmF11だけを受け取ってきてレポートしたのがこのセクションの前までです。ここでは、改めて本体600mmと×1.4エクステンダーRFを装着しての撮影に挑戦したのでご覧ください。

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≪EOS R5ボディと×1.4エクステンダーRFとRF600mmF11の配置≫ ×1.4エクステンダーは、4群7枚のレンズ構成で防塵防滴構造を採用しています。この×1.4エクステンダーをボディとレンズの中間に装着することにより、焦点距離840mm、明るさF16のレンズとして使えることになります。

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≪RF600mmF11と×1.4エクステンダーRFを付けたEOS R5≫ 合成焦点距離は840mmとなります。左は沈胴状態、右は70mmの沈胴状態を伸ばした使用状態。

■何を撮るか 1)遠くの風景、富士山

 さて何を撮るか、×1.4エクステンダーRFが手元に届くまで時間がありましたので、あれこれと考え、まずは最初に考えたのは、遠くの風景を撮ることです。いろいろと考えた末に、わが家から少し離れたところにある山口貯水池(狭山湖)から富士山を撮ろうと考えつきました。ところが、連日の雨でなかなかチャンスはめぐってきません。やっと晴れた日の午前中を目指して現地に向かいました。狭山湖畔の展望所で、×1.4エクステンダーを付け焦点距離840mm状態で富士山をのぞくと、優雅な姿の象徴ともいえる富士山の裾野がカットされ写りません。ならばとレンズ単体の600mmでと挑戦しましたが、やはり同じです。840mm、600mmのどちらにしても裾野がカットされるならと最終的には600mmの縦位置で撮影しました。これならば狭山湖の水面も写し込むことができ、撮影場所を活かした富士山となりました。

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≪左:840mmF16(1/1250秒、ISO640、AWB)、右:600mmF11(1/640秒、ISO200、AWB)≫ どちらも裾野がカットされていて写真的に見ると富士山のもつ優雅さがありません。一応、シャッターは切りましたが、自分的にはボツ写真です。いずれも手持ち撮影。

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 狭山湖畔から見たAM11:25の富士山≫ 距離の関係から600mm横位置では下の湖面が写りませんのであえて縦位置にしました。これにより狭山湖岸から写したことが表現できたと思います。キヤノンRF600mmF11、F11・1/800秒、ISO320、AWB、手持ち撮影。山口貯水池(狭山湖)から見てますが、地図上では約75km先にあります。合焦点までの距離はExifには4294967295mとでました。どうやら無限遠は、距離が“4294967295m”とでるようです。巻頭の月の写真では、中秋の名月の時期の月までの距離40万kmに近いので誤差の範囲かと思いましたが間違いでした。

■何を撮るか 2)動物園

 学生時代の後輩のカメラマン氏は、最近はいつも横浜のズーラシアで動物のさまざまな表情を撮影して、まるで生息地で撮影しているような感じで撮れています。もともと彼は音楽ライブの写真を撮影するのがここ数年来の日課でしたが、この春前から横浜ズーラシアでの動物撮影に切り替えています。なんでだろうと考えましたが、どうやら新型コロナウイルス感染の関係から、ステージの撮影ができなくなった結果だろうと謎ときしました。ならば私もズーラシアへ行けばいいのですが、身近な所でと東京都の多摩動物公園に出向きました。当然のこととして、RF600mmF11と×1.4エクステンダーRFを持参したのですが、ここでも狭山湖同様に600mmで十分ということになりました。

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≪シフゾウ。 CAF、600mmF11、1/640秒、ISO6400、AWB≫ 中国にいるシカ科の草食動物です。動物園の通路から最初はエクステンダーを付けて840mmで狙いましたが、アップすぎるのであきらめて600mmにして撮影しました。ここでは左右640ピクセルVGAにリサイズしてありますが、実際は長辺方向800~1200ピクセルくらいのほうがシャープな感じがつかみやすいです。ピントは目の部分に合っていますからこれでいいのでしょう。

 この日は平日ですいていましたので、さまざまな動物を撮影することができましたが、何か1枚となるとこのカットになったわけです。ところが不思議なもので、同日ほぼ同じ時刻に、写真で知り合ってるHさんが、同じ多摩動物園内で撮影していたのです。写真を拝見すると動物の顔のアップが多いのですが、レンズは80~200mmのズームでした。やはり動物園では600mmは長め過ぎるなと感じた次第。

■何を撮るか 3)疾走する犬を撮る

 もっと動的な写真を撮れないだろうかと考え、知人に協力してもらおうということでお願いし、快諾を得ましたので先方の住まいに出向いて2匹のラブラドール犬が疾走するところを撮ろうと考えたのです。当日は雨なら中止、曇天なら決行と決めて横須賀まで出向き広大な土地で2匹に走ってもらいました。ここでのチェックポイントは、動物(犬)の顔認識に加え、走る犬にピントが合わせ続けられるかということでしたが、フレーミングさえしっかりできれば、意外と簡単にクリアしてしまいました。ただここでの問題点は、焦点距離が長いと手持ち撮影では被写体を目で見ていて、カメラのファインダーにのぞき替えると、被写体(撮影ターゲット)を探してしまうことが何回かあったのです。下の写真は、犬に走ってもらい2回目ですが、これを10回近くやるとさすがのワンコも疲れてきたようで、ゆっくりと歩きだしてしまうのです。

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焦点距離840mm、F16・1/1250秒、ISO4000、AWB、合焦点距離33.2m≫ 黒の犬モモは5歳、茶色の犬チャイは15歳だそうで、もっぱら疾走役は若いほうの黒いほうのモモでした。このカットは2回目にうまくフレーミングできた最初のころのカットです。ただし残念なことにこのカットでは、大きく拡大すると茶色のチャイの目にピントが来ているのがわかります。少しでも色がある場所を選びましたが、背後に黄色く見えるのはセイタカアワダチソウです。

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焦点距離840mm、F16・1/1000秒、ISO2000、AWB、合焦点距離27.9m≫ 黒のモモが走ってくるコマの延長にあったカット。35mmフルサイズを各辺とも15%ほどトリミングして、モモが大きく見えるようにしてあります。このカットからモモの目にAFし続けていることがお分かりいただけると思います。フレーミングさえしっかりできれば、あとはシャッターボタンを押すだけなのです。それでこんな写真が撮れるわけですから驚きです。ちなみにこの写真を見た某社のカメラ技術者がおっしゃるには、黒い犬の顔・瞳認識は難しいそうです。

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焦点距離600mm、F11・1/640秒、ISO500、AWB、EOS R6≫ 数回繰り返すうちに、犬が疲れたようで撮影するのと、犬を押さえる役を交代したときのカットです。被写体は私と犬2匹ですが、発色、質感描写とも自然でいい感じです。

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焦点距離840mm、F16・1/1250秒、ISO840、AWB、EOS R6≫ 超望遠レンズとしての圧縮効果を狙ってみました。緩やかな坂に渋滞した車列に向かって走る人など距離感がなくなったところが面白いです。

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焦点距離840㎜、 CAF、  F16・1/250秒、ISO-AUTO 6400、AWB、手持ち撮影、合焦点まで206m≫ 西武新宿線で向かってくる小江戸号の撮影してみたのですが面白くないのです。それで下っていく小江戸号を狙っていたら、手前の踏切が開き人が渡りだしたので、シャッターを切ってみました。小江戸号までは206mあるようですが、超望遠ならではの圧縮効果でわずかしか離れていないように撮れました。

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焦点距離840mm、CAF、F16・1/250秒、ISO2500、AWB≫ カモが水に潜り、バシャバシャとすぐ先に顔を出すことを繰り返しやっていたので撮影。一連を高速連写で狙ってみましたが、水が跳ねるのは面白いのですが、ほとんど水しぶきでカモの表情がよくわかりません。そこでバシャバシャとやって再度水に飛び込む前のカモです。それにしてもカモの羽は水はけがすごく早いのにびっくりしました。

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焦点距離840mm、CAF、F16、手持ち撮影、合焦点まで無限遠4294967295m)飛んでいる鳥を撮影するのは至難の業です。このカットはわが家近所の自然公園にオオタカが営巣というので撮影に出向いて、らしき鳥を追い求めましたが、何度か挑戦してうまく飛翔する状態をキャッチしましたが、大きく伸ばしてみるとどうやらカラスでした。その時はるかかなた上空に飛来した飛行機が上の2枚の写真です。左は横田基地から飛び立ったアメリカ空軍機、右は入間基地から飛び立った自衛隊機というところでしょうか。掲載はどちらも機体中心にクロップしていますが、東京郊外でもこの程度は撮影できるのがEOS R5と600mmF11+1.4×テレコンバーターの実力です。プロペラが歪んで写っているのがローリングシャッター現象でしょうか。

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焦点距離840mm、CAF、F16・1/1000秒、ISO3200、AWB、手持ち撮影、合焦点まで無限遠4294967295m)さらにダイナミックに飛んでる飛行機を撮りたくなったので、Go toを利用して沖縄へ。朝東京を立ち、午後2:30に嘉手納基地わきの“道の駅かでな”の展望台へ到着。機材を持って帰りかけている人に聞くと、明日11月26日は祭日だから今日25日は午後から休みのようだというのです。何?と調べると11月26日は私の誕生日でもありますが、今年はアメリカの感謝祭の日なのです。5時の展望台クローズまで頑張って飛んだのはこれ1機でした。駐機場から動き出したところを狙いましたが、距離としては無限遠ですが背景の格納庫までを含めてシャープです。NAVYだから海軍の飛行機なのでしょうね。

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焦点距離840mm、CAF、F16・1/1250秒、ISO2000、AWB、手持ち撮影、合焦点まで無限遠4294967295m)最大出力で離陸したばかりです。エンジンから排出されたガスがモヤのようにして見えています。駐機場から出て、滑走路の端まで自走し、Uターンして速度を上げてから飛び立ちました。

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焦点距離840mm、CAF、F16・1/1000秒、ISO2000、AWB、手持ち撮影、合焦点まで無限遠4294967295m)駐機場から走行し、飛び立つところまでファインダー越しに追いかけるのはわりと楽な作業です。車輪はすでに収納されていますから、ある程度の高度がでていることがおわかりいただけるでしょう。ピントはしっかりと追いかけて合っていることがわかります。

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焦点距離840mm、CAF、F16・1/1000秒、ISO1000、AWB、手持ち撮影、合焦点まで無限遠4294967295m)翌日感謝祭の日は午前中に普天間飛行場の見渡せる丘に出向きましたが、この日はまさに感謝祭、当然のこととして1機も、1人も動いていない休日でした。宜野湾市にある普天間飛行場は、市街地の中にあり2004年8月には隣接する沖縄国際大学にヘリコプターが墜落したのは記憶に新しいです。そこで840mmでのぞいてびっくり。なんとオスプレイが20機ほど整然と駐機しているのでした。以前、こちらに訪れたときはタムロンの200~500mmズームでしたが、今回は840mmなので不足はありませんが、飛んでいるところを撮れなかったのは残念です。

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焦点距離600mm、CAF、F11・1/800秒、ISO250、AWB、手持ち撮影、合焦点まで無限遠4294967295m)≫ 屋我地島古宇利大橋展望所から古宇利オーシャンタワーを望む。沖縄本島屋我地島、古宇利島へはすべて橋でつながっています。青い空と青い海沖縄ならではのブルーです。フォーカスは橋の上の左側の車が走行している部分をねらっていますが、距離的には無限遠となるのでしょう。

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焦点距離600mm、CAF、F11・1/2500秒、ISO100、AWB、手持ち撮影、合焦点まで無限遠4294967295m) 本島の恩納村からのサンセット。黄金色に輝く海面が美しく、手前にはカヤックツアーの人たちがいたのですが、撮影時には左右に分かれてしまい画面内には入れることができませんでした。下に見えるのは残波岬灯台。完全に沈むまで待ちましたが、残念ながら下にあった雲の影に太陽は隠れてしまいました。

■楽しくカジュアルに使いこなせる超望遠レンズ

 このレンズ、最初に手にしたときは600mmを何に使うか持て余しましたが、使い込んでいくうちに徐々に面白さがわかってきました。それにしてもF11固定絞りで600mm、さらには×1.4エクステンダーと組み合わせて840mm、自分としては超望遠として未知な撮影分野に挑戦してみましたが、結果はご覧の通りです。そもそも焦点距離600mmか800mmか、エクステンダーは×1.4か、×2.0かとその選択に悩むわけですが、600mmを使って思ったことは、何でも長ければいいということではなく、しっかりとした撮影ターゲットが決まっている以外は、これ以上は長くても、倍率が高くても使う頻度が少なくなるような気がするのです。ちなみに、私の撮影と時を同じにして、北海道鶴居村でタンチョウを撮っている方に問い合わせると、焦点距離600mmぐらいがちょうどよいということでした。

 いずれもC-AFモードで、しっかりと撮影ターゲットをフレーミングできれば、あとは適切な撮影感度、シャッター速度が自動的にセットされ、ピントも露出も合うというわけですが、600mmF11、840mmF16という焦点距離F値で手振れもなく、しかも人物や動物の目にピントが合うというのですからすごいというのに尽きるわけです。これらはまさにデジタルカメラならではの最新技術を存分に発揮させたからであって、新しいデジタルカメラならではの境地を開いたからといって決して過言ではないでしょう。

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≪左:600mmF11のマウント後部からのぞいて振ってみると、最後群レンズがブラブラと動くから手ブレ補正ユニット部分であることがわかります。右:エクステンダー×1.4RFが加わってからは、仲間のEOS R6も加えて撮影を行いました。R6は、R5、Rと同様に、電源をOFFにしてレンズ交換するときにはシャッター幕が降りてCMOS撮像面がむき出しにならないので、レンズ交換するときには大変気が楽です≫

 このためには、光学的には従来は高価な光学素子であったDO(回折格子)レンズを組み込み、レンズ鏡筒には硬度の高い樹脂を大幅に採用して、しかもガタなくスムーズに70mmも伸縮する沈胴式として成型部品で構成するなど小型化と軽量化が図られているのです。またレンズ内部をのぞき込んでみると、内部は成型された樹脂そのものであって、特別に内面反射防止の黒塗装が施されているわけではないのです。この樹脂の仕上げは目で見るとグレーな感じにも見えるのですが、写真に撮ってみると黒くなっているので、なかなか高度な素材だと感じました。もちろん撮影時の露光条件によって変わるのはわかっていますが、なかなかだと思った次第です。

 いずれにしても、従来からのカメラ技術ではまったくダメダメであったものを、デジタル、さらにはミラーレスの特長を最大限に生かして気軽に超望遠撮影ができるようにした技術者の柔軟な発想にはただ驚くばかりした。今回は掲載しませんでしたが、室内の声楽のシーンでは譜面を持つことができないからプロジェクターでスクリーンに投影し、そのように暗い場面での撮影も600mmF11で/100秒でISO25600の手持ち撮影できたのもすごいことでした。室内でマスクした顔のアップでしたが、まるで屋外で撮影したようにきれいに写っていましたのも驚きです。これからも今までの写真の常識をひっくり返すようなカメラ技術の進歩のうえに、さらなる写真撮影の領域の拡大がなされることを大いに期待するものです。 (^^)/