写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

進化するレポート▶パナソニック・ルミックスS1Rを使ってみました ver.4.1

 パナソニックは、2008年にマイクロフォーサーズ(M4/3)の「ルミックスG1」を発売しましたが、これがいわゆるミラーレス一眼の最初でありました。それから10年経った2018年9月のフォトキナで35mm判フルサイズのミラーレス一眼「ルミックスS1R」と「ルミックスS1」の2機種を発表しました。そしてこの3月23日、ついに発売を開始したのです。(ゴシックの書体の部分が新たに追加された部分です)

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≪「ルミックスG1」が発売されてからレンズ遊びが楽しくなりました。そしてクラシックレンズの性能をフルに楽しむのには35mmフルサイズがいいのです。G1の時にはパナソニックからM、ライカR用のM4/3用マウントアダプターが発売されましたが、今回のフルサイズ用マウントアダプターはサードパーティーにまかせた方が楽ですね。このルミックスS1Rは、ライカカメラ、シグマと協業の「ライカLマウント」を採用しており、今後の各社の相乗効果がどのように発揮されるかは大変興味あります≫

 今回発売された、「ルミックスS1R」は、4,730万画素、9コマ/秒、1,016g、価格:45万円、「ルミックスS1」は2,420万画素、9コマ/秒、1,017g、価格:30万円、となっています(価格は発売直後の価格COM調べ)。またレンズはLUMIX S24-105mmF4(価格:14万円)を用意しました。このセットを購入してまず驚くのが、包装箱がライカに似た黒の箱に収まっているのです。蓋を開いてみれば、通常のデジタルカメラと同様なボディとレンズの中箱の区切りがなされ、それぞれ箱を開けると緩衝材の間から、それぞれの本体がでてくるのです。ところで、このセットに対して保証書は1枚なのです。この時期、前後に購入したニコンキヤノンもボディとレンズにそれぞれ別に保証書があったけど、パナソニックにはレンズの保証書はないのです。お店の人に聞くと、いつもそうだというのです。さらに写真仲間と話していたら、レンズのシリアルナンバーもないのではというのです。まさか!と調べてみたら、XF9BA10227とレンズマウント下部内側に小さくレーザープリントされているのです。これはなかなかわかりませんでした。右のMade in Chinaは文字が凸状であるので光線状態によっては影ができるので、目視で見えますが、左のシリアルナンバーは写真では明確に写っていますが、裸眼で見るには凹凸がなく、インク色も判別しにくく、書体も小さいため苦労します。そしてレンズには、フードは付属していましたが、収納のケースもポーチも付属していません。これは、標準レンズ扱いだからでしょうか。やはり、ちょっとカメラ由来メーカーとは違うようです。このあたりが撮影した画像にも何か違いがあるのでしょうか? そのあたりを含めてレポートしてみます。

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≪左: ボディとレンズが入ってきた化粧箱。右:レンズマウント基部内側のシリアルナンバーが記されている部分です。近眼の私でも裸眼で見るにはルーペが必要です

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 ところでパナソニックは、自社でイメージセンサーを製造できる数少ないカメラメーカーとされていますが、従来M4/3規格のカメラは使用経験ありますが、大型のものとしては私の使用経験と記憶では、2001年に発売されたキヤノン「EOS-1D」のAPS-Hサイズ415万画素CCDがパナソニック製でした。ところが、翌年2002年にはキヤノンはフルサイズ1,110万画素CMOSを自社製造し、以後一眼レフ、ミラーレス一眼のセンサーは内製してきたのです。2016年のフォトキナ時点では、パナソニックはオリンピックを目指すと公言し、新センサー搭載のカメラが登場ではとうわさされてきましたが、その後トーンダウンしましたが、はたして今回搭載のセンサーは、それにあたるものかどうかはわかりませんが、パナソニックCMOSイメージセンサーの実力は? スチルカメラとしての使い心地と性能はという視点をもって、徐々にレポートを進化させます。

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≪レンズを取り外してボディとレンズのマウント部を見てみました≫レンズを取り外した状態でイメージセンサーはシャッター幕に覆われることはなく、むき出しです。この機械的な口径とフランジバック電子接点は10個をもってライカLマウントであり、ライカカメラ社、シグマとの目に見える共通なところとなります。ボディ側マウント左下部の赤丸左がレンズ取り外しボタン。その上2つはファンクション(Fn.)ボタン、右下の丸い1・2と振られたのはFn.レバー、したがって使い込んでいき、自分なりに機能を設定することができますが、ボディ正面で4つ設定でき、ボディ背面と合わせるとFn.として16の機能を設定でき、さらにWBボタンなどの専用ボタンにも撮影時と再生時にそれぞれ別の機能を設定できるというからすごいです。

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≪背面上部から見たところ≫ カメラを操作するために背面上部から見たところ。液晶パネルはスイングしますし、その他の操作部材配置はダイヤル式であったり、初めての人でも目視でかなり配置はかなりわかりやすいのです。唯一、注意しなくてはいけないのは左肩上部のモードダイヤル基部の □ のマークです。 □ はシングル単写ですが、2⃣と3⃣は連写とルミックス独自の30コマ/秒連写の6Kフォト、60コマ/秒連写の4Kフォトの設定なのです。このモードの詳細解説は省略しますが、いわゆる連写とは異なり、動画の切り出しです。ファイルは動画のMP4ファイルで生成され、再生時にベストショットを写真的に.JPGファイルに保存することができるのです。

 ところで、このボディ、実際レンズを付けて構えてみると、私的にはかなり大きいのです。わが家の料理用計量器と体重計では、重かったり軽かったりで正確には測れないので、公称値で計算してみるとLUMIX S24-105mmF4込みで重さは約1,700gもあるのです。そこで複数のカメラ経験豊富な人に握ってもらうと、がっしりしているという感じで、いいというのです。とはいっても、なぜこれだけ大きいかと、使いながらいろいろと考えたのですが、従来からのパナソニックの小型・軽量のM4/3規格カメラに抵触しない範囲として、どうやらルミックスS1R/S1は大きくてもよく、ライカSLを念頭に置いてデザインされたのではないかとの考えに至りました。先行のソニーはNEXシリーズをベースに、ニコンはD1桁やD3桁シリーズを、キヤノンはEOSシリーズをというわけで、それぞれの企業の考えるところからボディの大きさやレンズラインナップが考えられたと、思うのです。結局、各操作部分の配置は、あるメーカーの技術者いわく、ニコンキヤノンのいいとこどりという感じだそうですが、それだけ違和感なく使うことができるというわけです。ただ連日操作してきて、個人的に違和感を感じるのはメイン電源SWの操作法で、左に押してON、右に引いてOFFという所が、どうしても操作感としてなじめません。逆だといいような気がしますが、どうなんでしょうね。

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≪左:バッテリー、右:記録メディア≫ バッテリーは専用の7.4V、3050mAh、記録メディアは、XQDとSDの両方が使えるダブルスロットで、SDカードはClass4/4GBのパナソニック製で10年以上前のものでしたがデータの転送速度を別にすれば十分使えました。XQDカードは本来はメインのようで、スロット1になっています。XQDカードで使ってみるとさすが転送も速いです。SDカードも転送速度の速いものを使えば、まったく問題ないでしょう。なお、今回の撮影でXQDカードを使用すると、突如としてフリーズ(ハングアップ)する現象が続出しましたので、メーカーに調べてもらったところ、バグが判明したということです。対応のファームウエアアップは現在未定だそうで、当面はSDカードでの撮影が無難です。

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≪電源関係のパーツ≫左上:専用バッテリー用充電ハウジング、USB-C→USB-Cのコードを介して充電器へつなげAC電源へ差し込む。右:USB-A→USB-C変換ケーブル(これを使えばUSB電源から直接ボディへ充電できる)。ボディに充電しながらの撮影もできます。左下は、予備の電池を収納するための透明チャック袋。ふだんからこのようにして予備バッテリーを持ち歩いていたので、すごっく納得しました。ただしこのセットは、電源コードが長く、太いので、取り回しが煩雑です。

 

■いつもの英国大使館正面玄関を撮影してみました

 撮影に出かける前に、試しのシャッターを切ってみますと、シャッターが切れたときの音はコトッといった感じで、やわらかく静かなのに驚きます。何か他のカメラに例えることはできないのかと、いろいろ思い巡らせましたら、かつて大昔のライカM3のよく調整された個体のシャッターを切った感じの音に近いのです。これは、私の経験で思い出せる範囲でのことであり、私の知るM3、M6TTL、M7、M8、M9、M(typ240)と使ったなかでのことでしかないのですが。

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いつもの英国大使館正面玄関ルミックス S24-105mmF4、焦点距離35mm:F5.6・1/500秒、ISO100、AWB。いつものように朝10:20、晴天。AFはスポットで中央屋根下エンブレムに合わせてピント合わせ。スポットAFは、画面内左右中央、上面エリアのそれより上の部分に設定できない限界部分にセット。画素等倍にして見ると、左右の樹木には色収差は発生していなく、それらしく針葉樹らしく見えるから解像度は高いことがわかります。また、左の黄色のポールは濃く再現されていて、露出レベルもあるでしょうが、色づくりとしてはソニーに似ている感じです。

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≪エンブレムの部分を画素等倍100%に拡大≫4,730万画素というだけに大きくなってしまいました。高画素なりに十分解像しており、直射日光が左上からあたり、日陰がでるほどですが、壁面は飛ぶことなくハイライトからシャドーまで十分に柔らかく描出されています。他機種との比較は京都MJの「ライカに始まりライカに終わる」を参照ください。画素等倍で比較できます。

 

■さまざまな条件のもとにランダムに撮影しました

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≪飛行機のモニュメント≫焦点距離48mm: F8・1/320秒、ISO100、AWB。撮影はほぼ正午、太陽光直上からのベタな順光状態です。

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≪飛行機のモニュメントの下で≫焦点距離105mm: F4・1/1600秒、ISO100、AWB。上とほぼ同時刻ですが、望遠側を使ったことにより絞りが開放となり、シャッター速度が速くなっている。撮影は上と同様ほぼ正午、太陽光直上からのベタな順光状態です。

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≪双発のプロペラ機≫焦点距離51mm: F7.1・1/320秒、ISO100、AWB。太陽光直上からのベタな順光状態です。

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≪お囃子連≫ 焦点距離105mm: F5・1/400秒、ISO100、AWB。太陽光直上からのわずかな半逆光です。

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≪お食事中≫ 焦点距離105mm:F5.6・1/400秒、ISO100、AWB。太陽光左直上からのわずかな斜光です。

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≪双発プロペラ機とお食事中の一部分を画素等倍に拡大≫ LUMIX S 24-105mmF4レンズは、総じて描写は柔らかであり、必要以上のカリカリとした感じはありません。柔らかい描写だといっても解像力がないということではないのです。よく見ると、右のカットの女の子の髪は解像しているのです。気になる描写は、女の子の左側背後にドーナツ状のボケができていることです。これは、球面収差の過剰補正によるものと考えられますが、画素等倍にまで拡大した時に初めて見えてきた描写なので、通常の写真プリントでは柔らかさを含めてわからないでしょう。ただ動画で、大型スクリーンに映したときにはどうなのでしょう。動画には詳しくないので、よくそのあたりはわかりませんので、専門の方の意見を聞きたいところです。

 このあたりは使う人の好みの問題でしょうが、もしカリカリとした感じが欲しいなら、ライカLマウントアライアンスグループのシグマArtラインレンズを使うのも良いかもしれないし、場合によってはライカのレンズも使えるはずなので、試してみる価値はあるでしょう。

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 ≪いつものマンション≫ 焦点距離24mm:F7.1・1/200秒、ISO100、AWB。このマンションの壁面を見て発色具合、解像感を見ます。また、同じように左右のビルの壁面を見て解像度、色収差の発生などを読み取ることができます。左右640ピクセルでは、その詳細は読み取れませんが、左右のビルの解像はもうひとつという感じです。

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 ≪サクラ並木の下の親子連れ≫ 焦点距離24mm:F6.3・1/200秒、ISO100、AWB。サクラ並木の下をリックを背負って歩く親子連れがいい雰囲気でしたので狙ってみましたが、青空とサクラの花はいい感じですが、残念ながらつぶれてしまいました。

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 ≪水面に映るお堀のサクラ≫ 焦点距離24mm:F6.3・1/200秒、ISO100、AWB。千鳥ヶ淵公園から皇居を臨むお堀の水面の反射を狙ってみました。

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  ≪子供囃子連≫ 焦点距離77mm:F4・1/100秒、ISO160、AWB。気に入ったカットを選択した1枚ですが、左と右の白装束の子が画面に大きく入る別のカットを含めて、露出は白が飛ばないぎりぎりのレベルで、いい感じになりました。

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  ≪ナノハナとサクラ≫ 焦点距離24mm:F5.6・1/250秒、ISO100、AWB。

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  ≪ハナカイドウ≫ 焦点距離105mm:F5・1/320秒、ISO100、AWB。レンズの正式名称はLUMIX S24-105mmF4 MACRO O.I.S.であって、手ブレ補正機構が入って、最大0.5倍・30cmまでのマクロ撮影ができるというので、庭に咲いているハナカイドウの花を狙ってみました。まずまずの写りですが、他のカットも含めて全画面を左右640ピクセルVGA画像に縮小すると、逆に解像感が失われるのは残念です。

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≪AWBのチェック≫ 焦点距離56mm: F4.5・1/60秒、ISO250、+1.7EV露出補正、AWB。写真用蛍光灯のソフトボックス照明でAWBのままで撮影してどのような色再現を示すかチェックしました。露出は、背後の白い花が飛ばないところのぎりぎりまでプラスの補正をかけてあります。このような撮影では、マニュアルでしっかりとホワイトバランスをとったほうがよいようです。

 

■人工照明下でインド舞踏を撮ってみました

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≪インド舞踏・基準露出画面≫ 焦点距離83mm:F4・1/250秒、ISO6400、AWB。最初露出補正なしで撮影してましたが、背面液晶で撮影後に確認すると暗すぎ、シャドー部がつぶれているのです。

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≪インド舞踏・Ⅰ≫ 焦点距離78mm:F4・1/250秒、ISO6400、+0.7EV補正、AWB。同じステージですが、曲が変わり女性の衣装も変わっています。この撮影は、初期設定がアンダーでしたので、+0.7EVの補正を加えました。ただし、やはりこの状態でも、私的にはまだアンダーであり、結果としてはレタッチソフト上で肌が飛ばない程度に少しトーンカーブを持ち上げる作業を行うと、まずまずという感じになります。なるべく決まりのポーズをと考えましたが、やはり画素等倍では、わずかな被写体ブレが読み取れます。

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≪インド舞踏・Ⅱ≫ 焦点距離48mm:F4・1/250秒、ISO6400、+0.7EV補正、AWB。3人で踊っているところで中央の女性に顔認識でAFが作用したところでシャッターを切りました。左右640ピクセルではわかりにくいですが、中央の女性にピントはきています。ただし、動いている人物は画素等倍ぐらいに拡大すると、被写体ブレをわずかに感じさせます。決めポーズでシャッター切ったつもりでも、やはり1/250秒でも動きは止まらないようです。

 この一連のインド舞踏の撮影は、自動認識AF(顔・瞳・人体・動物)モードにして、シャッター速度優先で1/250秒に固定して撮影しました。その結果ISO感度AUTOで6400という高感度で撮影されましたが、画素等倍近くになるとざらつき感がでてきます。これはある程度は致し方ないことではあります。ただ最初にシャッターを数カット切ってわかったことですが、背面液晶で見る限りアンダーで全体に暗くシャドウがつぶれていたのです。そこで、急遽+0.7EV露出補正をかけたのですが、ここに掲載の時には2枚ともさらにわずかながらトーンカーブを持ち上げています。高照度下でもシャドーつぶれの傾向がありましたが、人工光源下や低輝度下では高画素ゆえのつらさがあるのかもしれません。ところで、このような場面で撮影していると、背後の仏像画が、人物として形態認識するのには最初はとまどいました。自動認識AFは動物認識をON・OFFできるほかは、顔・瞳・人体の認識がセットになっているようなので、仏像を人体認識するのはOFFにできないようですが、使い込みができていないので詳しくはわかりません。

 結局ルミックスS1Rは、基準感度(ダイナミックレンジ)が低いことで露出補正操作の手間が増え、また露出補正からからくる感度上昇により粒状感なども画質には影響してくるのですが、さらに掲載時のトーンカーブの持ち上げ作業など、そのあたりが手間ですが、いくつか理解できない撮影結果となっていますので、メーカーの解析、答え待ちというのが現状です。

 

■自動認識AFの瞳認識AFと顔認識AF、人体認識AFなどを使ってみました

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≪バストショットで瞳認識AF≫ 焦点距離70mm:F4・80秒、ISO100、AWB。向かって左側の目に瞳認識AFでピントを合わせてみました。

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 ≪上の写真で向かって左側の目の部分を100%画素等倍に拡大して見ました≫ 絞り開放F4で、しかも画素等倍ですから必要十分なAF能力ですが、微細な部分の線が太く感じるのが気になります。

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≪全身を入れて顔認識でシャッターを切りました≫ 焦点距離64mm:F4・80秒、ISO100、AWB。画素等倍には伸ばしませんでしたが、顔認識で瞳を含めて十分顔にピントがきてます。(モデル:ひぐれ ともみ)

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≪自動認識の動物認識AFが働いたのでしょうか≫ 焦点距離64mm:F4・80秒、ISO100、AWB。手前の鼻はボケていますし、奥の耳もボケていますから、まるで瞳認識したかのようです。

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≪自動認識の人体認識AFでシャッターを切りました≫ 焦点距離65mm:F4・125秒、ISO100、AWB。ステージに並んだ6人を狙いましたが、ほぼ全員に人体認識が働き、このうち歌手を自動的に主要被写体と認識判断したようで、フレームが黄色くなり(右下写真参照)ピントが合いましたが、どうやらピンクの衣装からターゲットと認識したようです。知人は一番左のドラマーなのですが(笑)

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ルミックスS1RのAF自動認識、カタログより≫ AFモードは、自動認識、追尾、225点、ゾーン(縦・横)ゾーン(楕円)、1点+補助、1点、スポットを選択して撮影できます。自動認識は、人物、人物瞳、人体、動く人体、動物(犬科、猫科、鳥類)となっていますが、動物の認識をOFFにもできます。今回の撮影は、自動認識モードですべて撮影しました。撮影シーンによっては、さまざまな認識が重なり合ってでてくるために、ファインダー内が煩わしく感じることもあります。人物の瞳認識は、顔認識の中に、縦横の線がクロスした部分が瞳認識部分となりますが、線が細いので確認は注視しなくてはなりませんので神経を使います。

 

■追尾AFで列車を撮影してみました

 特別に鉄道写真好きではありませんが、自宅近くの西武新宿線で「特急小江戸号」を“追尾AFモードで”撮影してみました。これは特に難しく考えなく、追尾AFモード+連写モードにて撮影するのです。

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≪上り下りの西武新宿線・特急小江戸≫もちろん走っているシーンです。 ルミックス S24-105mmF4、焦点距離105mm:F5・1/400秒、ISO100、AWB、薄曇り。

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≪上り下りの西武新宿線・特急小江戸:元画像≫上のカットの原画です。上り下り車両が並んだ時がいいのか、上り線が迫ってくるのをぎりぎりまで粘るのがいいかわかりませんでしたが、並んだところをトリミングして掲載しました。逆に右の粘った写真はトリミングはほとんど不要となるでしょう。S24-105mmF4、焦点距離105mmなど、撮影条件は連写ですから同じです。追尾AFは右の上り車両に合わせました。やはり、もう少し長玉が欲しいですね。それでも4,730画素は、トリミングのためにあるといっても過言ではありませんので、

 結果としては、大変うまくいきました。もともと私は鉄道写真マニアでありませんが、時々カメラの動体AFをチェックするときにこのような撮影を行います。ただ今回は、同じボディで2日目、3回の挑戦です。1日目はXQDカード使用でボディのフリーズ(ハングアップ)があり、撮影できないままに自宅へ帰りました。今回は、2日目のチャレンジでこのような好結果になりました。アクシデントはXQDカードに対するボディ側のバグだったそうですが、これはSDカードでの撮影結果です。

 

ルミックスS1RにライカSL用レンズをつけてみました

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ルミックスS1RとライカSL≫ ルミックスS1Rには24-105mmF4、ライカSLにはVARIO-ELMARIT-SL 24-90mmF2.8-4をつけてあります。そこで、ルミックスS1RにライカSL用レンズつけて撮影してみました。

f:id:ilovephoto:20190421001857j:plainVARIO-ELMARIT-SL 24-90mmF2.8-4≫  焦点距離25mm:F4.5・1/200秒、ISO100、AWB。同じ場面をライカSLのボディにレンズを変えてルミックスS24-120mmF4で撮影しましたが、基本的には大きく変わることはないので、ルミックスS1RボディでバリオエルマリートSLレンズの分だけ掲載しました。

 とはいっても気になりますので、ライカSLレンズとルミックスSレンズの描写はと気になりますので、ルミックスS1Rボディでレンズの焦点距離を同じにして、絞りF5.6に固定して動かないように三脚でボディを固定して、比較撮影してみました。

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 ルミックスS1Rボディ:VARIO-ELMARIT-SL 24-90mmF2.8-4≫  焦点距離50mm:F5.6・1/125秒、ISO100、AWB。

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ルミックスS1Rボディ:ルミックスS 24-120mmF4≫  焦点距離51mm:F5.6・1/100秒、ISO100、AWB。 

 上の2点の写真を見てわかることは、シャドー部の濃淡の差はわずかにあるものの、その差はほとんど許容差というか、無視できる範囲でしかありません。そこで、画素等倍まで拡大してその差を見てみました。

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 ≪写真左:ルミックスS1Rボディ+VARIO-ELMARIT-SL 24-90mmF2.8-4、写真右:ルミックスS1Rボディ+ルミックスS 24-120mmF4≫どちらも同じ花の画素等倍切り出し画面です。この画面からすると右のルミックスSレンズの方が色収差があるように見えますが、どちらも同じといって問題ない範囲です。

 

■Lマウントアライアンス シグマもマウントアダプターMC-21で始動

 2018年9月のフォトキナを機に発表された“Lマウントアライアンス”の第1弾として発売されたパナソニックルミックスS1R/S1に引き続き、シグマから従来からのシグマArtライン交換レンズをLマウントに変換するシグマMC-21」マウントコンバーターが4月19日に発売されました。この時期発売されたのは、シグマ製のキヤノンEFマウントをLマウントにするものとシグマSAマウントをLマウントにするものと2種類です。このマウントコンバーターの有用性は、いまさら述べるまでもないですが、シグマSA-Lは12,500円、キヤノンEF-Lは37,500円で提供されるのが興味ある点です。この価格差は、シグマが従来のSAマウント対応のボディの製造を中止することに対しての、お詫びの意味を含めた値付けであると考えられます。マウントコンバーターシグマMC-21」の発売は、まさにパナソニックにとっては一気にレンズラインナップを広げる援軍ともいえるものです。早速、手配して入手できましたので、使用感を報告します。f:id:ilovephoto:20190414180756j:plain

≪シグマMC-21とArtレンズ≫用意した交換レンズは、シグマSAマウントのArt 35mmF1.4DG(フルサイズ)とArt 18-35mmF1.8DC(APS-C)の2本です。 したがって入手したマウントアダプターは「シグマSAマウント→L」用です。

 まずは、ボディに取り付けるとマウントアダプター基部に小さくLEDが緑に点灯すれば使用可能、オレンジ色だとファームアップが必要、赤だと使用不可能だということです。また、SAマウント受け側部には、DGフルサイズか、DC APS-Cサイズか識別用のピンが付いているのです。今までデジタルのフルサイズはなかったので気にしなかった部分でしたが、機械的なスイッチが付いていたので、SAマウントは完全電子式ではなかったわけで驚きです。いずれにしてもAPS-CのDCレンズを装着すると自動的にクロップ画像の27-53mm画角相当に切り替わるのです。

 ルミックスS1Rでズームレンズをズーミングすると、その時の焦点距離が背面液晶に表示されます。Art18-35mmF1.8DCを装着した時も焦点距離が示されますが、実焦点距離であってAPS-C換算焦点距離ではありません。しかし撮影後のExifデータを見ますと、実際に焦点距離、35mm判の換算焦点距離が表示されますので、APS-C判だという情報を読み取り、撮影ファイルのExifに書き込まれているのでしょう。

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シグマMC-21≫ マウントコンバーターMC-21を開梱して驚いたのは、ドライバーとネジ2本、六角レンチが1つ入っているのです。説明書を読むと、ネジはシグマの用意するボディにしっかりと止めるようにと予備を含め2本入っているのです。六角レンチは三脚座を不要なときに取り外し・取り付けができるようにとのことです。これは、他社の例を見るまでもなく、コンバーターに三脚穴が付いていると重量バランス的に有効なこともあるのに対し、アダプターを付けることによってハンドリングが悪くなったり、光軸がずれることもあり、私としては取り外し式にしたのは大賛成です。価格設定を含め、ユーザーへの細かい配慮を感じさせるマウントコンバーターです。なお、ドライバーはシグマSAマウント用だけに同梱されているようですが、シグマ自体のボディはどのようなものか、2020年発売と予告されていますが、今から楽しみです。

シグマArt 35mmF1.4DG+シグマMC-21(フルサイズ)

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≪港横浜にて:シグマArt 35mmF1.4DG+シグマMC-21焦点距離35mm:F2.5・1/320秒、ISO100、AWB。SAマウントのレンズですが、マウントアダプターMC-21をつけることによって一眼レフの交換レンズが装着できるようになります。

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≪横浜中華街にて:シグマArt 35mmF1.4DG+シグマMC-21焦点距離35mm:F2.5・1/320秒、ISO100、AWB。特別なモードでなく、プログラムAEで撮影していますが、絞り開放気味の露出となりました。

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≪わが家の小便小僧:シグマArt 35mmF1.4DG+シグマMC-21焦点距離35mm:F1.4・1/1300秒、ISO100、AWB。描写力に定評あるシグマ・アートラインのとにかく大口径F1.4を活かして撮りたいということで35mmF1.4DGを絞り開放F1.4で撮影してみました。さすが、炎天下で撮るというのもおかしいので、日陰で撮影しました。最初は小便小僧の顔を狙いましたが、人体認識はするのですが、顔認識、瞳認識ともしなく、最終的にはピンポイントAFで向かって左の目に合わせましたが、どうも面白みがないので、赤いバラの花びらを左目の上に置いて撮影しました。背景のタイルの配列など、ボケ具合はきれいです。

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≪わが家の小便小僧:シグマArt 35mmF1.4DG+シグマMC-21≫ バラの花びらの部分を画素等倍100%でははみ出してしまうので、50%まで拡大してみました。赤の花びらの中に葉脈まで細かく見えます。4,730万画素の高画素に耐えられるさすがArtラインの単焦点レンズです。

シグマArt 18-35mmF1.8DC(APS-C+シグマMC-21

 ルミックスS1Rボディで、フルサイズの場合に得られるデータ量は8292×5472=45,373,824ピクセルAPS-C判の場合は3664×5504=18,515,456ピクセルの画像となりますが、APS-Cで使ってもA3ノビは十分にカバーする解像度です。ところで、ルミックスS1Rのアラート表示はさまざまで、APS-C判レンズをつけて、AFをCモードにセットすると“AFSモードになります”と警告されAF-Sでしか撮影できなくなります。これはシグマMC-21説明書にも書かれていますが、レンズ側かボディ側の問題か、いずれファームアップで直るのだろうと思われます。以下、APS-C判のArt 18-35mmF1.8DCでの作例をお見せします。

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≪シグマArt 18-35mmF1.8DC(APS-C+シグマMC-21焦点距離35mm:F3.2・1/400秒、ISO100、AWB。VGAの画面ではわかりにくいですが、もともとAPS-C判、大口径ズームというハンディを抱えているので、フルサイズのArt 35mmF1.4DGと同等というわけにはいきませんが、A3ノビクラスの大伸ばしには十分耐えられます。

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≪シグマArt 18-35mmF1.8DC(APS-C+シグマMC-21焦点距離35mm:F2.8・1/250秒、ISO100、AWB。上の写真もそうですが、細かな緑色の葉の色調の差がきれいに美しく再現されています。

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 「Lマウントアライアンス」にシグマが参画することは、特にパナソニックにとってはきわめて重要なことです。パナソニックがミラーレスフルサイズ一眼をだすことは、既存のソニーキヤノンニコンのポジションではないといってますが、そこはズバリ動画であり、8k なのです。上のパネルは、CP+2019でのシグマのブース前ですが、なんとアライアンスグループで、マウントアダプターを使えば78本の交換レンズを用意できるとしているのです。そのうち13本がシネ用レンズなわけですから、その存在意義は大きいわけです。

 

■マウントアダプターでライカレンズを使ってみました

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≪用意したのは焦点工房の“L.M-L.SL”マウントアダプターと、3本のライカスクリューとMバヨネットマウントレンズ。左から、フォクトレンダースーパーワイドヘリアー15mmF4.5 ASPH.(1999)、キヤノン25mmF3.5(1956)、ズミクロン35mmF2(第2世代、6枚構成、1969年)、スクリューマウントレンズにはMマウントアダプターを装着して使用。焦点工房の“L.M-L.SL”マウントアダプターは、ライカMマウントからニコンZマウントやEOS RFマウント用のものより2倍以上するのです。カメラの発売日にボディと同時に購入したのでライカSL用となっています。これが、ライカ純正だともっと高いのでしょう。ライカ用だから高いのでしょうが、今後アライアンス3社で数がでればもっと安くなるのでしょう≫

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フォクトレンダースーパーワイドヘリアー15mmF4.5 ASPH.(1999)、F8・1/250秒、ISO100、AWB≫ ご覧の通り、周辺光量の低下はありますが色付きはありません。フィルムカメラの時代のレンズですが、コシナの名誉のためにいうとフィルムで使った時はこのような周辺光量の低下はありませんでした。

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キヤノン25mmF3.5(1956)、F8・1/250秒、ISO100、AWB≫ 15mmと同様に周辺光量の低下はありますが色付きはありません。フィルムカメラの時代のレンズですが、フィルムで使った時もこのような周辺光量の低下はありました。

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≪ズミクロン35mmF2(第2世代、6枚構成、1969年)、F8・1/400秒、ISO100、AWB≫私のお気に入りのレンズです。まったくのフィルムカメラの時代のレンズですが、フィルムで使った時はこのような周辺光量の低下はありませんでした。

 使用したレンズは、3本とも最近のフルサイズミラーレス機の、クラシック広角レンズとの相性を調べるときの私の基準レンズです。いずれも「ルミックスS1R」はクリアしたことになります。従来、この種の問題をクリアするためには、CMOS撮像素子が裏面照射タイプであることが必要だと私は考えていましたが、パナソニックの3,740万画素のセンサーにはそのような記述がないのです。そして普及機の「ルミックスS1」は2,420万画素CMOS撮像素子ですが、同じ素性ならばさらに好条件となるはずです。このあたりは、他のメディアの方のレポートを待つことにしましょう。いずれにしても、撮像素子の詳細がブラックボックスだというのも興味ある点です。

 

■サイレントモードでのローリングシャッター現象を調べてみました

 ローリングシャッター現象とは、CMOS撮像素子の電子シャッター機能を使うと、撮影情報を順次送り出すための送り始めと送り終わりでは時差が生じてしまうので、通常は機械式シャッターを併用しますが、機械式シャッターでは作動音がするために、音楽会や静かな舞台の撮影は、従来は消音ケースを用いたり大がかりでしたが、ミラーレス一眼では静音モードが設定され、電子シャッターだけのモードで撮影できるために、静かな撮影ができます。ルミックスS1Rのサイレントモードは、電子シャッターへの切り替えに加え、シャッター音だけでなく、ストロボ発光、AF補助光、電子音のすべてが禁止されるというものです。下の写真は、電子シャッターによる撮影結果です f:id:ilovephoto:20190414144515j:plain

 ≪電子シャッターモードでの撮影≫焦点距離24mm: F11・1/2500秒、ISO3200、AWB。何回かのサイレントモード撮影で、ピントが合い、画像が静止している状態がよいだろうと、高感度にしてシャッタースピードを上げ、絞り込んで撮影するようにしてます。上の写真からわかることは、ローリングシャッター現象は発生するということです。ただしカメラ側の設定に加え、被写体場面の輝度、車のスピード、被写体までの距離などが相対的に作用してくるために、絶対値としては表せませんが、ローリングシャッター現象が発生してるのはわかります。ただ感覚でしかありませんが、ルミックスS1Rの歪みの度合いは少ないような感じです。つまり、データの転送速度が速いということがいえます。とはいっても、やはり全画素読み出しのグローバルシャッターの登場は待ち望まれるわけです。

■終わりに

 フルサイズ3機種の最後にきたのがルミックスS1Rです。このカメラはなかなか手強く、評価をだすのに苦労しました。
 今回理由は明らかになりましたが、XQDカード使用時に遭遇した撮影不能となるアクシデントでは、メモリーカードがありません、ライトエラー・カードを確認してください(電源スイッチを入れなおせば回復)、電源を入れ直しください(完全フリーズでバッテリーを抜いて再起動)などでした。これらはすべてレベルの違う警告が日本語ででるのですが、このあたりの細かさは感心しました。同様にズームレンズでズーミングすると焦点距離が表示されるのですが、ファインダーならびに背面液晶はシーンを見て画角を決めるのであって、焦点距離を見て作画するというようなことは、通常ないのです。

※撮影時ならびに結果に一部私には理解できないものがありました。それらの疑問含みで撮影結果をアップしました。現時点で1つの問題は解明できましたが、今現在、すべての原因が究明できていません。今後、わかり次第詳報いたしますが、結論を載せないまま、とりあえずはという段階のアップです。(0525)