ライカがデジタルで「ライカM(Typ240)」になった時にライブビュー撮影が可能となりました。一番の楽しみは距離計に連動しないレンズでも使用できるようになったことです。そこでマウントアダプターを介して、往年の一眼レフカメラの交換レンズを距離計連動の範囲を超えて使うのも楽しいのですが、今回マウントアダプターを介さずに直接ライカMマウントを取り付け加工した『エルノスター(ERNOSTAR)10cmF2』レンズを手にすることができましたので、その写り具合を報告しましょう。“エルノスター10cmF2”は、1924(大正13)年に独エルネマン社より発売された「エルマノックス(ERMANOX)」(写真右)に固着されていたレンズです。
エルマノックスは、画面サイズ4.5×6cmのアトム判乾板を使い、当時としては大口径レンズであるエルノスター10cmF2を装着して“見えるものなら何でも写せます”とのキャッチフレーズで登場しました。カメラ名のエルマノックスのNOXは夜を意味し、レンズ名のエルノスターはエルネマン社の星を意味するというわけです。レンズの設計者はエルネマン社のL.ベルテレ(Ludwing Bertele)で、F2の後には、F2.7、F1.9、F1.8、F1.5などが設計されています。さらにエルネマン社がツァイスに合併された後には、大口径レンズとして名高いゾナー50mmF1.5までベルテレは発展させています。写真には、ライカM(Typ240)に装着されたライカMマウント改造のエルノスター10cmF2を示しました。当時、エルマノックスは、ドイツ人でフォトジャーナリストと知られるエーリッヒ・ザルモンにより、法廷での裁判の場面やヨーロッパの閣僚たちの室内会議場での活動を撮影したのがよく知られていますが、このことによりエルマノックスは、世界で最初のキャンディッドカメラと称されるようになりました。さて、いまから90年前、エルネマン社の夜のカメラとされたエルマノックスについていた“エルノスター10cmF2”の写り具合については、いつものように画像データ容量の関係から京都MJ「ライカに始まりライカに終わる」の第22回に掲載いたしました。ご覧ください。