写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

ニコンD3からD4への進歩

 1月にラスベガスで開かれたCESで実機展示され、2月16日に発売とされていたニコンD4の発売が3月15日に延期されましたが、結構人気が高く、初期注文は一気にこなせなかったようで、なかなか手元には届きませんでした。それでも3月末には約束通り届きましたので、まずは目出度し、メデタシといったところでしょうか。さっそくD3と並べて記念写真を撮影しましたが、並べてみるとうーんとばかりうなってしまいました。似ているようで、似ていないのです。右の写真で操作部位が大きく違った部分を簡単に見つけた人は、かなりのD3マニアといえるでしょう。そうです。僕の記憶ではフィルム時代のF4以来であった、ペンタプリズム右脇にあった測光切り替えダイヤルが左肩のダイヤル上部のボタンに移ったことです。この結果、ペンタ部脇は視度補正ダイヤルだけになりスッキリしましたが、測光方式は上面液晶パネルを見て、つまり電源を入れて初めてわかるというわけで、視認性としては悪くなりました。スッキリデザインをとるか、機能をとるか多分開発時に大きく議論された部分でしょうね。
 同じように、いままでと大きく違うのはAF/MF切り替えダイヤルです。D3では、C/S/Mとなっていて、コンティニュアスAFとシングルAF、そしてマニュアルフォーカスであったわけです。それがAFとマニュアルの2点切り替えになったわけです。これは、AFのレスポンスが良くなったことに関係がありそうで、ダイヤル配置の考えとしてはスッキリしたと思うわけです。このほか背面にライブビューボタンが新設されたりと2007年に発売されたときのD3と、その間の2009年のD3sとも違い、明らかな進歩を感じさせるわけです。それでも細かい機能はどうなっているのということになるのですが、それはニコンのページをご覧下さい。
 さて、僕の最大の関心事は高感度側の感度です。「D3」では推奨高感度領域はISO 6400(12.1メガピクセル)まででしたが、「D3S」ではISO 12800(12.1メガピクセル)まで上り、D4でもISO 12800(16.2メガピクセル)であるので、最高感度の伸びはD3SからD4へは感度の向上が見られないと思うかも知れませんが、実際は画素数が増加して、それでも同じ高感度を実現しているので十分な進歩としてとらえていいのでしょう。高感度の実力に関しては、D3Sが発売されたときにあれこれやとアップしましたが、D4ではどうなのだろうかと、推奨最高感度のISO 12800設定と増感H4.0(ISO 204800相当)設定を撮影比較してみました。

ニコンD4、AFニッコール35mmF2D、ISO 12800設定、プログラムAEF9・1/320秒)、露出補正なし、AWB、RAW撮影】 写真展会場のライティングだけに、写真にスポットが当たっている厳しい条件ですが、壁の質感もでており、ノイズの浮きもさほど感じさせません。推奨高感度領域の内のISO 12800設定だけにこのサイズでは特に問題はありません。

ニコンD4、AFニッコール35mmF2D、増感H4.0(ISO 204800相当)設定、プログラムAE(F4・1/6400秒)、露出補正なし、AWB、RAW撮影】 上の写真と同じ条件で撮影感度だけ変えてみました。画面全体がハイコントラストになり、壁の質感が消え、額縁の陰や女性の衣服、顔など全体にノイズの浮きが目につきます。しかしISO 204800相当の超々高感度だとすると素晴らしい描写です。

ニコンD4、AFニッコール35mmF2D、ISO 12800設定、プログラムAE(F8・1/250秒)、露出補正なし、AWB、RAW撮影】 あるプロラボのプリント評価室です。ライティングの条件が良いとまったくISO 12800設定という超高感度を感じさせません。

 いかがですか。本当はもっといろいろ進歩しているのでしょうね。まずは個人的な興味から感度だけ見ました。機材環境としてはD3/D3SとD4を同一画面で比較することも可能でしたが、進歩しているに決まっていることを確認するのに重たい機材を複数持ち歩くことは止めました。(^v^)