写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

軽井沢に「尾崎三吉」ギャラリー

 旧軽井沢に写真家・故尾崎三吉さんの作品を展示する「ぎゃらりー御水端」が9月1日にオープンしました。第1回目のテーマは“ぽおとれえとあるばむ尾崎三吉追想写真展−銀幕のマドンナたち−”で、昭和14年頃の代表作をその著書より、また昭和20〜30年代の女優ポートレート作品が多数展示されます。尾崎三吉さんは、1912(明治45)年に愛知県に生まれ、1933(昭和8)年に東京写真専門学校(現東京工芸大学)を卒業後、1940(昭和15)年まで戦前の小西六でフィルターと薬品の主任を勤めました。写真展パンフレット(写真は昭和14年撮影の原節子)によりますと、『尾崎三吉は女性専門の職業写真家ではない』 小西六で感光材料や薬品の研究やテストを繰り返すうちに、もっともデリケートな色彩を持つものは女性の肌であることに気づき、それをいかに美しくフィルムと印画紙に表現するかという問題を追求していくなかで、女性のさまざまな表情を作品に残し、写真愛好家に向けた多くの入門解説書があるというのです。尾崎さんは、日本写真家協会(JPS)の設立メンバーでもあり、1956(昭和31)年には秋山庄太郎大竹省二、松島進、早田雄二、稲村隆正、中村立行氏らと女性写真専門の集団ギネ・グルッペを設立しています。尾崎三吉さんは1994(平成6)年6月に東京で亡くなられていますが、没後17年を経て、戦前戦後を通じて撮影地として好んだ軽井沢の別荘に、お嬢さんの寺野康子さんご夫妻がぎゃらりー御水端(おみずばた)として設立したのです。
 ぎゃらりー御水端〔住所〕長野県北佐久郡軽井沢町旧軽井沢御水端1321-9 HN2337(軽井沢駅からタクシーで約10分)〔開館〕10:00〜17:00、季節開館、今期は9月1日〜10月31日まで〔入館〕無料〔電話〕080-3717-4748
 それにしても、なぜ僕がということなのですが、尾崎三吉さんのお弟子さんであった写真家の柳谷次男さんに僕は大変お世話になっており、写真業界の数々の古いことをいろいろと教えていただいてきましたが、その関係から設立構想のときから知らされていました。9月1日のオープニングには、顔を出せませんでしたが、近日中には僕も見に行こうと思っています。