写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

津波から回収された思い出の写真

 前回の“いま僕たちにできること”で紹介した、報道カメラマンの新藤健一さんから貴重な写真が届きましたので紹介しましょう。

市川様   今回は、気仙沼女川原発南相馬をカバーし、夕べ帰ってきました。
これで主要な岩泉、宮古、釜石、石巻からいわき、北茨城まで主要な被災地、全てを走破しました。だいぶお疲れですが、28日から再び、岩手に出かけます。さてご要望のあった岩手県大槌町で回収した思い出のアルバムです。修復作業は写真関係者の責務とも考えます。どうぞ効果的に使ってください。写真を3枚添付します。
 なお、4月29日から5月5日まで銀座の“ギャラリー・アートグラフ”で、『新藤健一緊急写真展−東日本大震災の現状』をやります。


 上の2枚の写真をご覧になって、おわかりのように岩手県大槌町の避難所には回収された写真のコーナーがあるようです。新藤さんによると、被災した家庭にはパソコンによるインターネット環境はなく、ネットに修復の方法を載せるだけでは不十分で、現地ではdocomoauが携帯電話の充電コーナーを設けているように、写真修復の相談コーナーでも設けたらどんなに感謝されるだろうかということです。さらに、津波によって家ごとすべて流された家庭において唯一の思い出となるのは、位牌と写真だそうです。新藤さんが提供してくれた写真は3枚ですが、回収された写真の掲載が小さくなると迫力がなくなるので、2枚だけをこの場にアップしました。残り1枚は回収した写真をカゴに入れて、親子3人が瓦礫の中の道を帰っていくという素晴らしい写真でしたが、スペースの関係でここに掲載するのは2枚とさせていただきました。
 なお、「今回の震災の惨状は文章や写真では表現できなく、いかにひどいかは自分の目で確かめるべきだ」と、新藤さんは言いますが、4月29日から5月5日までの『新藤健一緊急写真展−東日本大震災の現状』を見に行けば、その一部でも共有できることでしょう。