写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

ゼンザブロニカとポラロイド

ゼンザブロニカとポラロイド。この製品の間にどんな関係があるのでしょう。ブロニカの一眼レフにポラロイドフィルムバックが着くと考えたらかなりまともです。でも、実は違うのです。どちらも2010年11月30日から2011年3月27日まで、日本カメラ博物館で特別展示をやっているテーマなのです。
◆ゼンザブロニカ特別展 〜ゼンザブロニカD型からブロニカRF645まで〜
1959年3月に登場したゼンザブロニカ/ゼンザブロニカD型から1961年のS型、64年のC型、65年のC2、S2型、72年のEC型、75年のEC-TL型、76年のETR、1980年のSQ、1983年のGS-1、最終モデルになったブロニカRF645までをそのバリエーションを記念モデルを含めて展示しています。この展示の目玉は、ブロニカ全シリーズが見られるだけでなく、最初にアメリカに輸出された当時のままの箱入りD型とアクセサリー、ブロニカD型の試作機3台、ニッコール以前の試作レンズ「Fズイコー75mmF2.8」が展示されていることで、ブロニカカメラの歴史に新たな史実が加わった貴重な展示です。ブロニカ創始者である吉野善三郎氏は新光堂という小間物製造をやっていましたが、当時の彫漆の化粧用コンパクト、さらにはカメラを作るための資金源であった「ライター」など今となっては懐かしくも珍しい資料も数多く展示されています。

12月11日(土)、13:00からは、ゼンザブロニカD型からSQ-Aiまで開発を手掛けられてきた、元ゼンザブロニカ工業 取締役・事業部長の進藤忠男さんによる『ゼンザブロニカ開発秘話』講演会も日本カメラ博物館主催で開かれます。講演会では、ゼンザブロニカのネーミングは吉野善三郎からという今までの通説とは異なり、実は、ブロニカブローニーフィルムを使うカメラであることからとゼンザは寄席の前座からつけられたものなど、という新しい事実も、ゼンザブロニカの独創的なメカニズムの解説、吉野善三郎氏の人となりなどに加えてお話いただけます。ブロニカファンのみならず、カメラメカファンには見逃せない講演会です。

◆ポラロイド・カメラ展
ポラロイド写真システムは、米国ポラロイド社の創始者であったエドウィンH.ランド博士が1948年に写したその場で見られる「ワンステップフォトグラフィー」として発売したことに始まりますが、その独創的なフィルムに加え、オートマチック100(1960年)やSX-70(1972年)のカメラメカニズムは、その後の日本のカメラ作りにも大きな影響を与えました。しかし2001年にデジタル化の流れで経営破たんし、2008年にはインスタントフィルムの製造から撤退しました。しかし忘れてはならないのは、ポラロイドは多くの写真家に使われてたくさんの作品が残されたことです。
ポラロイド・カメラ展では、最初のポラロイドカメラである「ランド95カメラ」、パック式フィルムで電子シャッターを世界で最初に組み込んだ「オートマチック100カメラ」、「スインガー」、シャッターを押すだけでプリントの飛び出す「SX-70カメラ」「スペクトラカメラ」など歴代のカメラを始め、産業用、業務用のカメラ、さらにはポラロイドによる写真作品など多数が展示されています。ポラロイド社が破たんしてポラロイドのカメラとフィルムがなくなりましたが、今年でそのポラロイドシステムを開発した、エドウインH.ランド博士が誕生して101年目、日本にポラロイド製品が登場して50年目となります。

2011年1月22日(土)13:00より日本カメラ博物館で『ポラロイド写真が残したもの』というテーマで講演会が2部構成で開かれます。第1部は、元日本カメラ編集長で、現在スタジオレイ代表の河野和典氏による「ポラロイドに魅せられた人と作品」という題で、写真家ではアンセル・アダムス奈良原一高をはじめ、画家ではデイビッド・ホックニーアンディ・ウォーホルなど国内外の多くの写真作家やアーティストが残した作品を紹介します。第2部では、元日本ポラロイド社の産業映像部長であり、現在はAパワーの代表である安藤芳浩氏ことドクター・アンドによる「現代の若者とポラロイド写真」というお話で、ポラロイド社が衰退していく過程においてポラロイド写真の楽しさを若者に広めてきた苦労話や、今なおSX-70など旧ポラロイド社のフィルムカメラが人気であることへの考察、さらにはポラロイド社がなくなった後に、旧ポラロイド社のオランダ工場の生産設備を購入して、新たなインスタントフィルム作りを開始した、Impossibleプロジェクトなどについて紹介していただきます。

ブロニカ、ポラロイドとも現在はなくなりましたが、ブロニカタムロンへ、ポラロイドはサミットグローバルグループImpossibleプロジェクトへと引き継がれました。どちらも写真の歴史において、忘れてはならない存在の会社でありました。今後、どのような展開があるか未知数ですが、展示会、講演会ともに価値あるテーマです。今からでもお申し込みを。